|
Nakajima Yoshimichi, Ten kinds of people I dislike, Shincho-bunko, Sep 1st 2008.
昨日試験の後に、片道1時間半かけて(C'est pas grand pour moi!=これくらい何ともないのだけれど!)、埼玉県は北坂戸にあるお気に入りの美容室に行って、1年ぶりに髪を切って、これであと1年何もせずにクウェートにいられまする。と、その道すがら斜め読みした、おなじみ中島先生の本。
中島氏の読みやすい一般向けの本としては
カントの人間学 (講談社現代新書) 中島 義道 講談社 1997-12 売り上げランキング : 41153 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
こんなのとか
ひとを愛することができない―マイナスのナルシスの告白 (角川文庫 な 35-5) 中島 義道 角川書店 2007-02 売り上げランキング : 146047 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
もあって、私みたいに捻くれている人間にはカタルシスを味わえる貴重な分野。たぶん意味の分からない人は一生分からないと思う。別にそれでも幸せならいいんですが。
さてさて今回は一番上の本の紹介ですから、手始めに著者の挙げる「嫌いな人」を列挙。
1,笑顔の絶えない人
2,常に感謝の気持ちを忘れない人
3,みんなの喜ぶ顔が見たい人
4,いつも前向きに生きている人
5,自分の仕事に「誇り」を持っている人
6,「けじめ」を大切にする人
7,喧嘩が起こるとすぐ止めようとする人
8,物事をはっきり言わない人
9,「おれ、バカだから」と言う人
10,「わが人生に悔いはない」と思っている人
ここで既に意味が分からないとか、反感を抱くような人は読んでも余り意味はなさそう。さすがに私だって付いていけない点は(この本に限らず)2,3あるけれど、結局言わんとしていることは私がここで日々もごもご嘯いていることと大差ないと思うのです。ただ思うに、中島氏が特別変わり者というよりは、心の底からそういうふうに思っていて、そうありたいと思っていても、中島氏のようにキレる頭を持っているわけでもなし、凡人でしかありえないと自認している人は、やはり思うところを押さえて生きていくしかないのであって、共感をかなりの程度感じる人は多いのだと思う。(だからそこそこ売れるわけだけれど)
珠玉の言葉を抜き出し。
「笑いは何よりも誠意を要求する、だが人びとに誠意など果たしてあろうか?笑いは悪意のないことを要求する、ところが人びとが笑うのはほとんど悪意からである。」とはドストエフスキーの『未成年』より。
美しくなんて笑えない!のだ。
「彼らが「専門家はバカだな」と言った瞬間に、その言葉はぐるっと巡ってその矛先が自分自身に向けられる。専門家と同じく自分もバカであることを自覚していない、専門家でないから分はバカから免れていると思いこんでいるどうしようもないバカさ、これが「普通のバカ」なのです。このように、バカの方が、利口よりも偉いかのような、人間として上等であるかのような、しかもルサンチマンにまみれた、一切の真実な問いかけを拒否するような、その怠惰な態度が、私は大嫌いなのです。」(p210)
よくぞ言ってくれた。反知性主義の末路。
「どんな思想をもってもいいのですが、当人がその思想をどれだけ自分の固有の感受性に基づいて考え抜いているかが決め手となる。」(p235)
「あることが真の言葉か否かは、その言葉の表面的な正しさによってではなく、その言葉を発するに至るその人が、いかに血の滲むような「経験」をしてきたかによって決まる。」「いか勤勉に「からだで考える」ことを実践しつづけてきたか」(p237)
痺れますな。Il m'a engourdi. 大好きです。Je l'aime beaucoup. このスタンスで生きていきます。
No comments:
Post a Comment