Sunday, September 21, 2008

お疲れさま

ペルシア語には「あなたがお疲れではありませんように」という、日本の「お疲れさまです」に似た言葉があるらしい。詳しい文法等は全く存じ上げないけれど、日本語の「お疲れさまです」が、既に疲れているであろう相手に向かって、その「疲れている」という状態を事後的に認識かつ認定した上で労わるのに対して、ペルシア語のそれが、「疲れる」という状況回避の希望と可能性を捨てずに思いやりを示す点で、まだ未来が感じられて癒し系だなと思う。「お疲れさまです」と言われれば、疲れるようなことをしていなくとも、ああ、自分は疲れていたのか、と後から気づき、余計に疲れてしまうこともあろうが(もちろん、「お疲れ」で元気になったり癒されたりするケースもあるだろうけれど、要はケースバイケースかつその言葉を発する人間によるのだが)、「ありませんように」と願われると、いいえそんな、願われるに値するほどの苦労はしていないぞ、よし、と発起するのも悪くない。



アラビア語も、おそらくペルシア語も、たぶんヘブライ語も、ついでにセム系ではないけれどトルコ語も、あの辺の言語はロマンティックな詩的表現に満ちている。・・・と書いたけれど、自分自身が感傷的に誰かを求めていない限りは、かなり暑苦しい。アラビア語の歌は、統計を取ったわけではないけれど、おそらく80%、いや90%近くは「あなたが恋しい、どこにいるの、早く帰って来て、愛しているわ」系である。シリアの友達は日本人歌手のYUI(彼に教わるまで知らなかった・・・)のファンらしく、アラブ系歌手は好きでないらしいが、何となく分かる気がする。ただ、あれだけ愛よ恋よと暑苦しく脂っこく叫び、しかも偉大なる(!)アッラーがついていれば、年間3万人も自殺するような国だけにはならないだろうとも。これも統計を見たわけではないので、悪しからず。



愛の確かさも、神の存在も、疑う余地が初めからないならば、それを幸と呼ぶか不幸と呼ぶかは、まさしくその人間のメンタリティーの問題だろう。・・・淡白に「お疲れ」くらいが、日本人の私には合っているのかも知れない。

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