Friday, September 26, 2008

床屋談義

小泉元首相が政界引退。後継は次男の進次郎氏。長男と同様、顔がいい。しかし、長男は日大二部在学中に父親が首相となり芸能界へ、次男は関東学院大卒後、プーしている最中に父親が首相となったため、コロンビア大院でジェラルド・カーティス(Gerald L. Curtis)に引き取ってもらえたらしい。その後はCSISでAdjunct Fellowだから、臨時助手といったところか。ただ、彼のプロフィールはなし。実態はどうだったのか知らんが、コロンビア以後は平民だったら相当優秀な人でないと務まらない。

小泉家は刺青の御家系だから、別に日大二部でも関東学院でもいいのだけれど、カーティスはおそらく、世襲としての日本の政治家二世のメンタリティーとか生い立ちとか教育だとかを「研究対象」として間近で観察できるいいチャンスだし、それに小泉に恩を売っておけば日本政治の研究上、かなり有益だしと思って・・・と、素人なりに勘ぐってみる。

このブログでは、床屋談義は慎みたいのだけれど、自分の許す範囲のぎりぎりまで言ってみよう。安倍に続いて福田も1年で職を投げ出したことについて、ああだのこうだの(首相の椅子が軽くなったetc)と皆さん仰っているが、悪いことばかりでもないように思う。そりゃあ、実務上の問題や、日本の政治外交上のプレゼンス等、デメリットも豊富だけれども(たびたび変わる日本の首相の名前を言える非日本人はよほどのマニアだろう。私もタイの首相の名が覚えられない)、“お気軽に”その職に挑戦し、“お気軽に”辞めたくなったら辞められるだなんて、中学校の給食委員くらい(*)、ある意味「お手軽な」役職で、独裁もなければ、多くの人が経験できる(世襲とか資金とかの問題はおいておけば)、かなり「民主的な」風潮と制度なのではないかとも。アメリカの大統領選のように、コストも時間も膨大にかかり、余程のことがなければ任期を満了するへヴィーな制度は、少なくとも私には耐えられない気がする。(もちろん、マケインが高齢のために任務を続けられなくなって、ペイリンが任務代行することは大いに考えられる話だし、オバマ暗殺説も根強く囁かれているくらいだから、ブッシュの8年間やブレア、ベルルスコニーニ、小泉の長期政権時代は「あの」時代の特殊性に帰すに吝かではないが)

私が床屋談義を嫌うのは他でもなく、それが「誠実でない」からだ。発言者はその発言に対して何の責任も負う必要がなく、立派な見識があろうがなかろうが、「好き勝手」言っているにすぎないことが大概である。新橋のサラリーマンがマイクを向けられて喋るのを私は批判しないし、おばちゃん通行人がワイドショーの受け売りを自慢げに話すのを咎めるほど狭量ではない。ただしかし、自分を「知識人」だとか「教養人」として認識あるいは売り込む人間は、少なくとも、自身が口にする現象の背景や影響力に思いを馳せ、慎重に慎重を期すべきだと思う。いわゆる「学者」的物言いが常に良いわけではないが、意識の問題として。

日本だけではないと願いたいが、日本の地上波報道番組はその形を成していないことが多い。どこの馬の骨か分からないような漫画家やタレント、スポーツ選手が、コメンテーターと称して、(えらっそうに)言いたいことを言っている。私はその度に穿ちたくなる。いつお勉強なさったのかしらん?

素人は口を閉ざせと言っているわけではない。誰でも何でも言えるのが民主主義だ・・・とか、そういうレベルの話ではないのだ。見よ、背後の複雑性を。感じよ、当事者事情の機微を。もっと誠実になれぬのか・・・etc ま、その無責任さが庶民の声を代弁しているらしく、「輿論」か「世論」を形成していく番組の目玉らしいのだからいいんだけれどね。

ただ、最近目に付いてしかたないのが、アーチェリー・アテネ銀メダリストの山本氏だ。驕る平家は久しからずよ。

*中学生だって、学級委員長が任期途中で「もうやだ」とか言ったら、教師に止められるだろうし、ましてや生徒会長だったら、ねぇ。給食委員長くらいだったら、いつでもその首は挿げ替え可能かな、と。

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