Thursday, August 14, 2008

この違和感、コーカサス

コーカサス国際関係の十字路 (集英社新書 452A) (集英社新書 452A)コーカサス国際関係の十字路 (集英社新書 452A) (集英社新書 452A)
廣瀬 陽子

集英社 2008-07-17
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amazonのレヴューで誰かが、計ったようなタイミングでの出版、と。奇しくも。停戦が合意に至りそうで終結の見通しが立ったようで。図版も表も大変に痒いところに手がとどく作りになっていて、新書としては申し分ないのだと思う。が、 おそらく夏学期のゼミのS川先生なら数多くのダメ出しをするのだろうな、と一介のただの(この地域を専門にも何にもしていない)学生は思う。本当は自分で検証して、ここが違うのあーだのこーだの論うのが筋だが、そういう時間も力もないので、ここでは1点だけ。

この著者については何も存じ上げないのだが、いかんせん、表現がナイーヴ過ぎて突っ込みどころが少なくないように思われて仕方ない。「国際的に」とか、何?その「国際」って?・・・や、いかにもな断定、言い切り・・・客観的な分析とは思えない。(客観的な分析なんていうものはそもそも不可能なのは百も承知で、「心がけているかどうか」という点で)極めつけに、最後のあとがきで「そのような(日本人の・筆者注)「無関心」がコーカサスの混沌を助長しているとはいえないだろうか」と来たら、ちょっと眩暈がする。日本人がこの地域に無頓着なのは百も承知。もっと関心も持って、出来れば声を上げて欲しいという著者の願いはよく分かる。しかし、「助長」はないだろう。イラクやルワンダとは性質が違う。せめて、「遠い国で起こっている、私たちと一見関係のないことのように思えるけれど、私たちの視線が何らかの形でかの地の出来事に大いに影響する可能性が常にあるということを心に留めて欲しい」とかこの程度にして欲しい。この違和感、どなたか共有可能でしょうか?

ニッチな分野であるがゆえに、入門的新書としては画期的でかなりの程度一般人向けに有用であることは付け加えておく。

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